平成15年度県予算編成並びに施策に関する要望

 町村共通事項 
1 地方分権の推進について

  変貌する社会経済情勢の下で、我国は大きな構造的変革を求められてきており、多様で魅力ある地域社会を自立的に築きあげるためには、地方分権を着実に推進していくことが極めて重要な課題であります。
 つきましては、地方分権の推進を図り町村の自立に向けた取り組みを進めるために、次の事項について国に要望されるようお願いします。
(1) 地方税・地方交付税など一般財源が充分確保できるよう、必要な措置を的確に講じること。
(2) 事務、権限の移譲を着実に進めること。
(3) いかなる形であれ、市町村合併を強要することのないよう十分に留意すること。
 あわせて、住民に最も身近な町村の充実のため次の事項について要望します。
ア)彩の国分権推進交付金については、引き続き町村が真に必要とする額を確保すること。
イ)県補助金の整理合理化にあたっては、地方財源の充実確保が達成されるまでの間必要となる額を確保すること。
ウ)財政的支援にとどまらず、人的支援等についても引き続き積極的に推進を図ること。
3 くにづくり総合助成制度の充実について
 
 くにづくり総合助成制度については、県民に最も身近な市町村が主役となって実施する環境整備や住民の利便性の向上、個性豊かな地域づくりのための重点事業となっております。
 しかしながら、平成14年度は、全体で6億7千万円の減となり、その中で特に町村が必要としている「くにづくり助成金(一般分)」が特別分から振り替えられた事業や新規事業が増加したにもかかわらず、前年対比マイナス10億円となったことは、町村にとって非常に厳しい財政運営の中、きわめて不本意な結果となりました。
 つきましては、15年度の県予算を、13年度と同額に戻されることを強く要望します。
4 ペイオフ凍結解除後における地方公共団体の公金預金の保護について
 
 本年4月(流動性預金については平成15年4月)からペイオフの凍結が解除され、それぞれの地方公共団体においては、公金預金の保護方策について苦慮しているところでありますが、預入先の金融機関が破綻し公金預金が喪失した場合には、地方公共団体の行政執行に重大な支障と、住民生活に多大な影響を与えることになります。
 仮に、それを防止するため公金預金の移し替えや分散を行った場合には、地域経済に不安や悪影響を及ぼすことも懸念されます。
 つきましては、収納代理金融機関における公金の収納金を含む、地方公共団体の取り扱う公金預金について、引き続きその保護のための必要な措置を講じるとともに、金融機関の破綻により金融システムの安定性が損なわれることがないよう的確な検査・監督を通じて金融機関の健全性を確保しつつ、経営安定化策を強力に推進するとともに、地方公共団体の公金預金の公益性に鑑み、金融機関の経営状況の把握に不可欠な情報開示の徹底や、地方公共団体に対する情報提供および相談窓口の設置等について国に要望されるようお願いします。
5 情報通信技術(IT)の進展に対応した情報化施策の推進について
 
 わが国では、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)制定以来、ITを中核として日本経済の活性化をはかり、ゆとりと豊かさを実感できる国民生活を実現することを目標に各種の施策が進められています。
 住民生活に直結する町村としても、行政サービスの電子化は重要な課題であることから次の事項について、国、県の支援をお願いします。
(1) 「総合行政ネットワーク」や「申請・届出等手続のオンライン化」にかかる基盤整備およびその運営経費について、積極的な支援
   措置を講じること。また、市町村合併後に重複投資等の無駄が生じないよう、国が整合性のある方針を早急に示すこと。
(2) 情報通信技術を有効に活用するため、ITサポート事業等、専門家の養成や、自治体、地域、学校教育等の場において担い手
   となる人材の育 成や情報システムの開発支援(共同開発を含む)など情報リテラシーの向上に向けた施策を積極的に推進
   すること。
(3) 情報通信格差の大きい町村部の情報化を促進するため、光ファイバー網、移動体通信、情報通信拠点施設およびCATV等の高
   度情報通信 基盤の重点的な整備を推進すること。
    また、地上放送のデジタル化に対応するために行う設備整備等に対する支援制度を創設すること。
(4) 住民基本台帳ネットワークシステムを最大限に活用し行政サービス向上に寄与する町村独自の事務機能構築費や構  内LAN
   整備及び、電磁的記録式投票機をはじめとする電子機器導入全般にかかる国庫補助率の引き上げ及び県の補助制度を創設す
   ること。
7 国民健康保険財政の健全化対策について
 
 国民健康保険は、医療保険の基盤的な制度として被保険者の健康の保持、増進に貢献してきておりますが、その運営は幾多の制度改正にもかかわらず、低所得者層を多く抱え、財政基盤は依然脆弱な状況にあります。加えて、医療技術の高度化、診療率の増加、高齢社会の進展などにより、保険給付額は急激に増加しております。
 このため、国保税の税率改正はもとより、基金の取り崩しを行うなどして、辛うじて国保の財政を維持しているところです。
 つきましては、町村の国保財政の現状をご賢察のうえ、県の国民健康保険特別助成費の大幅増額及び葬祭費の補助対象化について要望します。
 また、次の事項について、国に要望されるようお願いします。
(1) 各種医療保険制度間における公平化を図るため,医療保険制度の一本化を基本として、国の責任において早急に
    改革を実現すること。 なお、一本化が実現するまでの間、制度の維持運営に支障をきたさないよう、国庫負担の
    拡充等十分な財源措置を講じること。
(2) 国保財政の健全化及び保険料(税)負担の平準化に資するため、新たな国庫負担措置を講じること。
   なお、国保財政安定化支援事業については引き続き措置すること。
8 福祉対策について
 
(1) 福祉医療制度改正にともなう補助について
  平成14年l月から、老人医療、重度医療、乳幼児医療、ひとり親医療にかかる県単補助制度の見直しが行われましたが、これらの医療制度は住民の健やかな生活を守 り、少子高齢化に対応する観点から重要な制度であります。
 町村においても、独自に乳幼児医療費の支給対象者の拡大などを図ってまいりましたが、この度の見直しに伴う一部負担金の導入や、所得制限の変更などそのまま住民へ転嫁することは福祉施策の後退となり困難であります。
 つきましては、所得制限の導入、変更、一部負担金の導入の廃止を検討されるとともに、県補助金の補助率についても検討されるよう再度要望します。
 
(2) 保育所整備補助事業について
  本年1月末に発表された国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、わが国の人口は2006年をピークに減少を始め、2050年には約1億人となり、しかも、この内高齢人口が35.7%を占めると予測されております。
 このように今後一層少子高齢化が進展することが予測されている中、保育所の待機児童が問題化しているところや、一方では保育所の統廃合の必要性が生じてきているところもでてきております。
 しかしながら、国・県の方針は、待機児童の解消を最優先課題として掲げており、予算配分も方針に沿ったものとなっております。
 少子高齢化が予測どおり推移すると、やがて施設が供給過剰になっていくものと考えられますので、待機児童の解消のための保育所建設ばかりでなく、保育所の統廃合や改修、あるいは地域における児童福祉施設として多機能化を進める場合についても、待機児童の解消と同様に補助対象事業となりますよう要望します。

(3) 知的障害者福祉事務等への支援体制について
  平成12年6月に制定された社会福祉法により、福祉をめぐる状況は大きく様変わりしています。
 障害者福祉については、事務の委譲が進み、特に平成15年度からは知的障害者福祉事務のすべてが町村へ委譲されると同時に、支援費制度が導入されることとなっております。
 現在各自治体におきましては、制度の施行に向け鋭意努力しているところでありますが、財政的・人的な制約の中で苦慮しているのが実態です。
 このため、県におかれましては、平成15年度に知的障害者福祉事務が町村へ委譲された後も、これまで蓄積された様々な資源を活用され、知的障害者福祉事務のみならず、町村が福祉事務を進める際の支援体制を考慮してくださるよう要望します。
 
(4) 放課後児童対策事業の県費補助について
  現在、県補助金は事業費のみの補助となっていますが、人口急増地域における学童保育の施設に関しても、補助対象にしてくださいますよう要望します。
 また、指導員の一時金につきまして、補助金基準額では対象外となっていますが、補助対象とされますよう要望するとともに、現行の事業費補助金基準額の増額についても併せて要望します。
 
(5) ドメスティック・バイオレンス被害者の空き県営住宅の借用について
  男女共同参画の推進において、女性相談室は必要不可欠のものであり、特にドメスティック・バイオレンス(DV)に対する対応は、県内はもとより全国の市町村において大きな課題となっております。
 現在、DV法が整備され啓発も浸透しているため住民の関心や認識が高くなっており、各自治体でのDV相談もここ何年かで急増しているところです。
 しかしながら、緊急時に一時的に保護する場所がなく相談者も不安な日々を何日か強いられることがあり、また、相談者が持つ諸事情により、シェルターが制限され遠隔地での考慮も必要になります。
 つきましては、相談者の人権と身の安全の確保を図るため受け皿として県営住宅の空き室を、シェルターに入居できるまでの期間借用できるよう要望します。

9 以降へ

※ 要望は、町村共通事項及び郡・町村個別事項で構成していますが、このページでは町村
   共通要望のみ掲載しております。(個別事項についてはお問合せください)

2 地方交付税制度の充実強化について
 
 地方分権の実現を図り、町村の自立に向けた取り組みを行うためには自主的な財源を確保することが、町村にとって必要不可
 欠であります。 一方、町村にとっては、課税自主権の活用によって税源を確保することには大きな限界があるのも事実であり、
 その意味から地方交付税はきわめて重要な一般財源となっています。
 国が法令等で実施を義務付けている事務や、国から地方への税財源の移譲を議論することなく地方交付税の総額を一律に削減
 するようなことがあってはなりません。
 つきましては、次の事項について、国に要望されるようお願いします。
(1) 町村が安定した財政運営ができるよう、地方交付税所要額を確保すること。また、地方交付税は地方固有の財源であるので、
  その制度のあり方について検討する場合は、町村の意見を十分踏まえること。特に、スケールメリットが 働きにくい町村の行財
  政運営に支障をきたすことのないよう配意すること。
(2) 税源の偏在による財政力の是正および一定の行政水準の確保をはかるため、財政調整機能および財源保障機能 は、極めて
  重要であるので、基準財政需要額の算定にあたっては、町村のもつ国土保全に果たす役割などを十分考慮し、実態を的確に反
  映したきめ細かい財政需要の算定をはかり、町村への傾斜配分を強化すること。
6 介護保険制度について
 
 (1) 介護保険制度推進のための財政支援について
     介護保険制度は、町村において重要課題のひとつとなっており、介護基盤の整備や介護サービスの提供など財政負担も多額
   なものとなっております。
     特に介護支援専門員等の人材の育成・確保や町村独自のサービスの提供などに多額の財源が必要であり、小規模な自治体
   にとっては、財源の確保が困難な状況です。
     つきましては、介護保険制度の円滑な推進のために、十分な財政措置を講じられるよう国に要望されるようお願いします。
 
 (2) 介護保険料率の算定に関する基準の見直しについて
    平成13年10月から保険料の満額徴収の実施に伴い、低所得者保険料について市町村の単独減免制度を導入されたい旨の要
   望が多くの団体等から出ている状況にあります。
    介護保険制度では、生活保護受給者などの低所得者を含め、65歳以上の高齢者が第1号被保険者となることから、低所得者
   の負担が過度に重いものとならないよう負担軽減策が盛り込まれていることは理解できますが、要介護者等については、継続性
   の強い介護サービスはもちろんのこと、医療での治療も行っているケースが多いため、保険料及び利用料以外に医療費の負担
   も強いられ、低所得者の負担感は大きいものと考えられます。
      現在、一部の市町村によって保険料の単独減免が実施されておりますが、保険料の負担軽減策については、全国統一基準
   を基本に検討されるべきであると考えられます。
    つきましては、現在の賦課段階を所得階層に応じ細分化することにより、低所得者の負担が軽減されることから、介護保険料率
   の算定に関する基準の見直しについて、国に要望されるようお願いします。
   あわせて、県内の大半の市町村が利用料及び保険料の単独軽減を実施しているのが現状でありますので、県の助成制度の創設
   について要望します。

 (3) グループホーム及び特定施設等の施設入所者に対する住所地特例を適用することについて
    グループホーム及び特定施設等の入所者については、大半が他町村から移ってくる高齢者であります。この人たち 住民基本
   台帳法に基づき住民票を移した場合、介護保険の負担額が増大してしまいます。
   つきましては、これを回避するために、上記施設入所者についても住所地特例を適用してくださいますよう、国に要望されるようお
   願いします。